ちゃんと、日吉へのプレゼントは忘れず鞄に入れて。いつものように、朝練に向かった私だったけど・・・。


「おはよう、日吉。」

「・・・・・・・・・あぁ。」

「日吉?」

「何だよ。」

「・・・ううん。何でもない。」

「何でもないなら、いちいち呼び止めるな。」


・・・・・・何でもないわけない。あきらかに・・・・・・・・・不機嫌!!!でも、それを指摘できないほどの不機嫌さで、結局私は何も言えずにいた。
朝練後、普段通りに教室へ帰ろうとしても・・・。


「日吉・・・。」

「悪いが先に戻っててくれ。」

「え・・・。何かあるなら待つけど・・・。」

「いいから、先に戻ってろ。」


こんなことを言われたのは、初めてで・・・。もちろん、いつも一緒だったってわけじゃない。どっちかに何か用があって、1人で帰ることだってあった。・・・だけど、今日みたいなあからさまな拒絶は初めてだった。
その後、教室でも何も話せず・・・放課後の部活にも、日吉はさっさと1人で行ってしまった。
・・・・・・どうして、今日に限って・・・。それとも私、日吉に何かした??と言うか、そうとしか考えられない!!だったら、ちゃんと謝りたいのに・・・日吉はちっとも私と関わろうとしてくれなかった。
それでも、部活が終わった後は、どうしたって私たちが最後に残る。だから、そのときを狙った。


「日吉・・・!」

「・・・・・・・・・何だ。」

「私、何かした・・・?」

「・・・別に。」

「だったら、どうして、そんなに避けるの?それは今日だけ??・・・それとも、明日からもこんな感じなの?」

「・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・もういい。」


何があったかはわからない。日吉が言いたくなさそうだから。ただ、私が嫌われたんだってことだけはわかった。
でも、せっかく仁王先輩にも時間を割いていただいて選んだプレゼント、それだけは渡しておこうと、投げやりに差し出した。・・・泣くのは、家に帰ってからでいい。


「とりあえず、これ。・・・誕生日おめでとうってことで。」

「・・・覚えてたのか・・・?」

「当たり前じゃない。昨日ちゃんと買いに行ったんだから・・・。」

「昨日・・・?昨日はお前・・・・・・学校前で仁王さんと待ち合わせしてたじゃないか。」

「そうだよ。それで、仁王先輩にアドバイスをもらいながら、日吉のを選んだの。」

「・・・・・・でも、どうして仁王さんなんだ?」

「昨日は先輩の誕生日だったから。」

「じゃあ、仁王さんに渡す物も誰かに相談したのか?」

「ううん。仁王先輩には当日、日吉のを選ぶ前に、どういう物がいいかって直接お話しただけ。」

「・・・それじゃあ、俺の分は・・・わざわざ前日に、他校の仁王さんにまで手伝ってもらったというわけか・・・。」

「そういうことになるね。だから、仁王先輩の時間が勿体ないから、受け取るだけは受け取ってよね。」


ずっと険悪なムードで、お互い、完全に冷たい態度だったのに・・・。急に、日吉が大人しくなった。
・・・やっぱり、仁王先輩の名前を出したのは正解だったかな。なんて、呑気なことを思っていると。


「その・・・・・・悪かった。今日1日、八つ当たりをしていたようだ・・・。」

「え・・・?」

「昨日、帰るとき、門の近くでお前と・・・仁王さんを見たんだ。・・・遠かったから、話までは聞こえなかったが・・・が随分と楽しそうにしているように見えた。」

「日吉・・・?」


あれ・・・。何だろう、これ・・・。この感じ・・・。まるで、日吉が・・・・・・。


「それが・・・俺にとっては気分のいいものではなかった。だから、冷たく当たってしまった。・・・悪かった。俺の勝手な早とちりだった。」

「早とちり・・・?」

「あぁ・・・。お前が仁王さんと、その・・・特別な関係なのかと思った。」

「それが嫌だったってこと?」

「・・・そういうことだ。」


ねぇ、これって、やっぱり・・・・・・。


「それって・・・嫉妬?」

「・・・・・・そうなんだろうな、情けないことだが・・・。俺にとっては、特別な存在だから、そういう醜い感情も持ってしまうらしい。」

「・・・・・・・・・日吉。」

「何だ?」

「不意打ちはズルイ。」

「不意打ち・・・?」


そうだよ。さっきまでお互い喧嘩口調で・・・それで、急に反省したかと思ったら、今度は私のことが特別だなんて・・・・・・。


「前日に一生懸命プレゼントを選ぶぐらいなんだから、私だって日吉のことを特別に想ってるの!それなのに、急に私のことを特別な存在とか言わないでよ!ビックリするじゃない・・・!!」

「・・・。それは今の俺の状況にも当てはまると思うが?」

「先言い出した日吉の方がズルイの。・・・私なんて、昨日仁王先輩と約束して、告白することになってたんだから・・・!」

「そうか・・・。それは良かった。」

「何が?!」


照れ隠しながらも、私は少し怒り気味で言っているにも拘らず、日吉は何やら楽しそうに笑っている。・・・やっぱり、余裕そうなところがズルイ!


「そういうのは、やはり男の俺から言うべきだろう。だから、に先を越されなくて良かったと思ってな。」


しかも、今度はいつもみたいな意地悪そうな笑顔。と思ったら、次は真剣な口調で・・・・・・。


「改めて言う。・・・俺はのことが好きなんだ。だから、付き合ってくれないか?」

「・・・・・・お願いします・・・。」


だから、私も真面目に返したけど・・・。やっぱり恥ずかしくて、少しお辞儀をするように下を向いた。
でも、どうやらこれで、今日帰っても泣かなくて済みそうだ。・・・いや、もしかしたら、嬉し泣きはしちゃうかもしれない。だって、本当に嬉しいから・・・!
ありがとう、日吉。大好きだよ。・・・それと、誕生日おめでとう!









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はい、今日は12月5日!というわけで・・・、日吉くん、お誕生日おめでとう!!
これで最終話でございます。本当に皆様、最後までありがとうございました!!!!
最後はベタと言うか・・・、いえ、何でもありません(笑)。

とりあえず、無事、カウントダウンを終えることができて良かったです!blogの方で、この企画の裏話(?)等をさせていただく予定ですので、もしお時間あれば、そちらもご覧になってみてください☆
本当に、ここまでありがとうございました!!

('09/12/05)